博士の理不尽な日常、第五話ver2 kei



コンバンワです。
えと、大変申しわけないのですが、前回アップさせていただいた第五話を加筆修正し、再度アップさせていただきたく存じます。
なんかもう本とくだらない文章を修正なんかしても、どうせたかが知れてるわけで、んないらんことするな。・・・とか、思われるかもしれませぬが、あのままは本当に酷いので堪忍してあげてください。

それでわ・・・

・・・と、一つ忘れてました。今までのお話は私が少しお花見等のせいでサボってたため消えてしまいました。申しわけないのです。
読みたいお人なんていらっしゃるわけ無いですね(TT
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「いつまで居座るつもりなのよ。」
ソフィが武器の手入れをするジャドの前に仁王立ちする。
「だいたい、新しい家は探してるの?貴方はいつも武器ばっかりいじって、博士は博士で部屋に篭ったっきりでてきやしないじゃない!!」
ソフィが腰に手を当てて、人差し指をずびしっと、ジャドに突き立てる。
ふと、ジャドが手を止めて顔を上げた。
「・・・じゃぁ、ケイは一体何をやっているのだろうな。」

博士の理不尽な日常
第五話「ようこそパラダイス」

「ちょっとジャド・・・早くドアを開けてよ。」
ソフィがジャドの後ろに隠れながら、彼をせかす。
ここはケイに貸された部屋の前。
ソフィーの部屋はマンションとしてはかなり広い。居候に部屋を貸し与えてもまだ余裕があるほどである。
「クッ・・・今あける。」
ジャドは柄にも無く緊張した面持ちでドアノブに手をかけると、一気に開け放つ。

「・・・・・!」

・・・全くの静寂。
ジャドの後ろで頭を抱え込んで丸くなっていたソフィがそっと頭を上げる。
「・・・なによ。何も無いじゃない!」
博士の居るべき部屋は全くのがらんどうで、住人の存在までも感じられなかった。
「部屋に居るもんだと思ってたら、一体どこに出かけてるのかしら?」
そう言うとソフィはジャドを押しのけて部屋に入ろうとする。
「待て!様子がおかしいぞソフィア!!」
「え?」
刹那、銃器を携えた大量のロボットアームが部屋の各所から展開される。
「言わんこっちゃ・・・ない。」
冷たい銃口を2人に向ける無数のロボットアーム。
「12,13,14・・・こっちが動かなければ撃ってこないみたいだけど・・・」
「一度に相手にできる数ではない・・・な。」
膠着する2人。
(それにあの博士の事だ・・・これだけではあるまい・・・)
ジャドは舌打ちすると、そのいつまで続くのか分からない睨みあいを続けるのであった。
・・・と、永遠に続くかに思われた停滞に変化が起こった。部屋の中ほどの床がせり上がってテレポーターが現れる。
「あれぇ?お二人とも何か御用でございますかぁ?」
青いレイキャシールはどこまでもにこやかに、二人に尋ねるのであった。

・・・

肩に角材を担ぎ手には巨大なハンマー、鉢巻に法被といった出で立ちのソフィが、二人の前を歩く。
「一体いつの間にこんな大規模な施設を作ったのかしら。」
どこまでも続く緋毛氈の上を歩きながらソフィがあたりを見回す。
「それに、資金も・・・ソフィどういうこと?」
通路の両側にはおびただしい数のセキュリティ用トラップ。
「はい。何でも、『一発逆転の新発明』を発明したとかで、そのおかげだそうです。」
「一発逆転・・・ねぇ。」
ソフィはただならぬ不安を覚える。
「・・・この部屋は何だ?」
ジャドが一つの扉の前で立ち止まった。
『ご迷惑おかけします』の文字と黄色いヘルメットをかぶって頭を下げる博士がデザインされた工事中のポスターが入り口に貼られたその部屋には、『生物実験室』という表札がかかり、中からは不穏な悲鳴が聞こえてくる。
「あ、そこはまだ工事中ですよ?」
「それは見れば分かるんだが・・・人間の声が中からしないか?」
何悲鳴は一向に止まない。するとそこに、低いうなり声が加わる。
・・・と内部で何かが暴れだした。
「なんだか戦ってるみたいなんだが・・・?」
「さぁ・・・? 私にも良くわからないのですよ。」
結局、ジャドはドアには開ける程の勇気は沸かなかったのであった。

・・・

「あ、博士はあそこです〜。」
ゆうに30分は歩いただろうか、そこは自然に出来たと思われる巨大な空間であった。
流れる水脈に、天窓から差し込んだ光が反射して虹を作っている。
「・・・居ないじゃない?」
「そう焦らなくとも、今参りますぞ。」
どこからとも無くドラムロールが響き、地面の一部が割れその下から床がせり上がる。
「ぐふふふふふ・・・・」
スポットライトが不細工な影を床に落とす。
見上げる3人。ケイの乗った床は、5メートルくらいの高さまで上がると停止した。
「やぁ諸君。良くきましたな。歓迎いたします・・・・・ぞぉ!?」
ケイが額から白煙を吹き上げ落下する。
「居候の分際で・・・。」
こめかみに青筋を立てながら、ソフィが地面にめり込んだケイのもとへとにじり寄る。
「人の部屋をなんの断りも無く好き勝手に改造なんてなさって・・・。」
息をするたびにソフィの口からは蒸気があがる。
「許されると・・・思って?」
冷徹な、引きつった笑顔のまま、ソフィが立ち上がりかけたケイの胸倉を掴むと片手で一気に引きずり上げる。
額から水色の体液を勢い良く噴出しながら、必死に無言で首を振るケイ。
「覚悟は出来てますわね。博士。」
ソフィがヴァリスタに代わりその手にダブルセイバーを転送した。

・・・

「それで、ここはどこなのペディ?」
ソフィがにっこりと尋ねる。
「は、はいぃ。こ、ここは、ラグオルの地下の自然洞窟ですぅぅ〜。」
ペディが怯えきって半べそかきながら、ソフィに答える。
「で、あそこの肉塊の発明品って言うのは?」
そういうと、辛うじて人の形をとどめているにすぎない、所々黒くこげたケイに顎を向ける。
かすかに動く事から生きている事を確認できる程度である。
「こ、これですぅ。」
そういうと、ペディはケイのなれの果てにジャスティスを執拗に浴びせつづけるソフィに、小さな一つのトランクを差し出した。
「これは・・・?」
そう言うとソフィはふたを開け、中の薬瓶を太陽にかざす。
「何これ、なんの薬?」
「はい。この地下の水脈に生息する大型生物の体液から作られた成長促進剤だそうです。」
「また、怪しげな・・・・。」
博士の体を埋め終えたジャドが、その、薄紫色をした液体を眺める。
「・・・ってこれ、この間のアレじゃないのか?」
「えぇ。ギガグラインダーΩに近い物だって・・・生前おっしゃってました。」
そう言うと、どこからかケイの遺影を持ち出したペディがさめざめと泣く。
「その名も・・・「デロルレ皇帝液」だそうです。どんな怪我でもたちどころに治し、年よりは若返り、頭痛、胸焼け、血行不良、動悸、息切れ、腰痛、しもやけ、夜泣きに百日咳にアルツハイマー、さらには禿にまで効く、まさに万能の薬と聞いています〜。」
「それが本当なら凄いわねぇ。」
そう言うとソフィは、ケイの埋められた場所へドボドボとそれを注いだ。
「全く、こんな怪しい薬。作るほうも作るほうだけど、買うほうも買うほうだわ。一体どこの誰が出資してるのよ?」
紫色の煙が上がるのをいぶかしみながら、ペディが薬瓶をその場に捨てる。
「それは・・・」
ボコっと、地面が盛り上がり腕が生え、薬瓶が地面に到達する前にそれを掴む。
「全国の、色々な悩みに困る方々ですよ。・・・そう、例えば禿とかですな。」
ケイは地中から這い出すと、体の泥を払った。
「全く、今回ばかりは流石に駄目かと思いましたよ。デロルレ皇帝液のおかげです。」
ガスマスクの隙間から揺ら揺らと触手が生える。
「少し体の構造が変化したようですが、ほぼ完璧な回復ですな。」
そう言うと、スーツの排気口から紫色の蒸気を噴き出した。
(・・・どこが完全だ・・・あぶねぇ。)
ジャドがケイの変態っぷりに固唾を飲む。
「・・・ところで、ペディ。その写真はなんですか、失敬な。」
ペディのほうを向かずに、そのままの姿勢でケイが聞く。
(うぅ。博士怒ってる・・絶対怒ってます・・・。)
ペディは新たなる脅威に、逃げ出したい衝動に駆られながら答える。。
「え、えとその場のノリでつい・・・ご、ごめんなさい、博士ぇ〜〜!!」
そう言うとペディはケイの遺影を力いっぱい放り投げた。
音よりも早く飛んでいく遺影。
ケイの親指を立てたお世辞にもかっこいいとはいえない写真は、洞窟の壁面に突き刺さる。と、そこを中心に放射状のひびを周囲に穿つ。
「・・・おいケイ。」
「なんですかな? ジャド。」
「あの壁はきちんと工事してあるのか?」
「もちろんですとも。この世のどんな火器を持ってきたとしてもこの施設を破壊する事など・・・。」
と、博士の背後に巨大な岩が崩れ落ちる。
「・・・ソフィア。リューカーを。」
「さっきから何度もやってるわ。出来てれば当の昔にコンナとこ出てるわよ。」
「ち、一体どうなってやがる。しかし、これだけは言えるな。」
ジャドが入り口のほうに向き直る。
「さっさと逃げるべきだ。」

・・・

ジャドの一言よりも早く4人はテレポーターに向かって、長い道を走り出していた。
その背後で崩れ落ちる天井。
永い長い緋毛氈の床を4人は疾走した。
その行く手を誤動作を起こしたセキュリティシステムが阻む。
「一体どういうことだ、説明しろ。」
向かいくるロボットアームを片っ端から破壊しながらジャドが聞く。
「多分さっきの衝撃で、デロルレ皇帝液のタンクが破損して原液が流出したんでしょう。それが、システムに影響を与え、リューカーの使用を妨害してるのかもしれません。我ながら、何て素晴らしい出来だ。」
その巨体からは考えられないスピードで疾走しながら、ケイが答える。
「どうやったらただの毛生え薬が、機械にエラーを出すようになるんですか!?」
ソフィがヴァリスタを乱射しながら叫ぶ。
「毛生え薬とは失敬な。・・・む、見えてきましたぞ!!」
テレポーターが目前に迫る。
「間に合ってよかったですねぇ〜。あ・・・!」
ペディが足元の一寸した段差につまずくと、見事なヘッドスライディングをきめた。
「・・・・・・あ。」
凍りつく他の3人。
「うぅぅ。痛いです〜。・・・あれ?」
ホームベースではなく、テレポーターのコンソールに突っ込んだペディはコンソールにめり込んだ拳をズルリと引きずり出すと、その場にぺたりと座り込んだまま停止した。
「・・・やばい・・・ですかな?」
そう言って、振り返るケイ。後ろからは紫色のどろりとした液体が溶岩のようにゆっくりと迫る。
ケイは腕のコンソールを操作すると隔壁を下ろす。
「ひとまずは安心か。」
ジャドが愛剣を肩に背負う。
「いえ、そうも言ってられないようね。・・・時間の問題だわ。」
隔壁は腐食され、所々黒ずんだ染みができ白煙が上がる。
「全く、何て毛生え薬なのかしら。」
ソフィは胸の前で腕を組むと、ふぅっと溜め息をついた。
「貴様、何か手は無いのか。」
ジャドがケイに詰め寄る。
「・・・ふむ。仕方ありませんな。ペディ!」
ぼへーっとフリーズしていたペディが我に返る。
「は、はいぃ! 博士なんでしょう?」
「工事用のハンマーはどうしました?」
「えっと、ここに・・・。」
ペディの手に巨大なハンマーが転送される。
「そいつは私の特別製です。そら、そこのダイヤルを限界までひねりなさい。」
ペディがダイヤルを捻ると、ハンマーから金色のフォトンが噴出される。
「このまま、薬まみれのどろどろも良いですが・・・後ろの2人の為にそれで思いっきり床をぶち抜くのです、ペディ。」
「はいぃ! いきますよぉ・・・!」
気合一閃。ペディがハンマーを振り下ろす。

バガン!!

分子レベルで床が破砕され、4人は暗闇の中へ落ちていくのであった。

第6話へ続く。

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えと、前よりは少し読みやすくなりましたでしょうか?
心配です。
今夜あたりに上手く行けば、第6話がアップできそうです。
感想お待ちしておりますです。


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