博士の理不尽な日常 第参話 kei


どーもですー。
今回はちょっとテンポアップして掲載してみました。
上手くかけてるかどうか心配です。いや、むしろかけてないでしょう。
あ、あ、石は投げないで下さい。是非読んであげてください。
えとそれから、大分へたれた第一話,第二話は
http://pso.dricas.ne.jp/bbs/p/pso/413/sqqlly/index.html
http://pso.dricas.ne.jp/bbs/p/pso/418/yhbfff/index.html
にございます。もし宜しければ読んでやってください。
それでは・・・・

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シップ1「lo」Block2。軍部地下、船体基部に間近い場所に軍部直轄の監獄がある。
この監獄のさらに最深部に「アブソリュートセキュア」と呼ばれる部位がある。そこはめったな事では使われないような場所でそれこそ、未曾有のモンスターでも閉じ込めておくようなときにでも利用するくらいの場所だ。
そして、久しく使われなかったその場所に今、3人の化けものが捕らえられている。
小さな、のぞき穴以外には完全に密閉された金庫のような場所で3人はそれぞれに過ごしていた。
「おい、ソフィア!俺は関係ないだろう?なぜこんなところに監禁されねばならぬのだ!」
「ペディ。お茶。」
「博士ぇ。ここ、お茶葉おいてないですよぉ?」
そんな様子をうっすらと笑いを浮かべて監視カメラの向こうから満足そうに眺めるフォマールが一人。
女性としては長身で、細身なこととあいまってすらりとした印象を与える女性である。
「これで、貴方もおしまいねドクターケイオス。」
そうして彼女は今日何度目かの愉悦の呟きを発するのであった。

博士の理不尽な日常
第参話「突撃!ソフィの晩御飯。」

時は少し戻って、昨日の夕方。
「博士ぇ?」
「なんですか?ペディ。」
「一体どこへ向かってらっしゃるのですか?」
ペディは先から気になっていた質問をケイに投じる。
「ふむ、ちょっと知り合いのところにでもお世話になろうかと思いましてね。」
「そうでしたか。博士ってお友達少ないですから、ジャド様以外に知り合いがいらっしゃったなんて意外です〜。」
「・・・・・・ペディ?」
振り向いた博士のバイザーが西日に反射して怪しい色に光る。
「改造・・・しますよ?」
低く静かにケイが言い放つと、ペディの全身が凍りつく。
「は、博士ぇ〜!それだけはご容赦くださいませ〜!ペディは何でも致しますので、どうかお許しくださいー!うぅぅ。」
ペディは怯えきって、博士に泣きながら懇願するのであった。

・・・

さて其れからいくつかのテレポーターを通過し、たどり着いた先は軍部の研究施設。
軍の中でも選ばれた人間しか立ち入れない場所である。勿論民間人なんてよほどの特例じゃない限りは入れない。
・・・筈なのだが、博士たち一行は何の障害も無く、その内部にいた。
「所内に侵入者あり、繰り返す所内に侵入者あり。」
研究所内にけたたましいサイレンが響く。
「敵戦力は未知数、前庭の守衛部隊及び既に投入された第一部隊は全滅した模様。第2から第13部隊までの全ての部隊は出動し敵を全力で殲滅せよ。これは演習ではない、繰り返すこれは演習ではない!」
出動命令に突き動かされ、次々と同僚が戦地に赴く中、一つの部隊が出遅れる。
「おい、新人。実践は初めてか?」
部隊長と思しき男が部隊の新人に声をかける。
新人はこくりとうなずくと震える指で、銃のセッティングを行う。
「おちつくんだ。最初は誰だってルーキーさ。」
そういって、隊長は新人の肩をぽんと叩く。
「いくぞ!野郎ども!!他の部隊に遅れをとるな!侵入者とやらをコテンパンにしてやるぞ!!」
やっと準備の出来た新人を見届けると隊長は威勢一番、先陣を切って飛び出す。
しかし、隊長がそこで見たのは、健闘している同僚の姿ではなく、
燃え盛る爆炎をバックに悪鬼のごとく破壊の限りをつくす、太ったレイマーと、右手にヒューキャストを引きずって歩く青いレイキャシールの姿であった。

・・・後に隊長はこう語る。
「・・・アレは間違いねぇ。死神だ!・・・俺は奴を一目見たあの時にもう、戦士として死んでいたのさ・・・。」

・・・

「・・・いいんですか博士、こんなことしてて?」
ペディが困惑しながら聞く
「何、軍隊式の歓迎セレモニーですよ。」
そういうと、ケイは一つの部屋の前で立ち止まる。
(絶対違うと思う・・・)
ペディは罪悪感にため息を一つつく
其れを傍目にケイは自分のスーツについたIDをセンサーにかざす。
「・・・まだIDが生きていましたか。」
スイーっとドアが開く。
「えぇ、その通りですわ。ドクターケイオス。」
ドアの内側にはフォマールが一人、微笑み佇んでいた。
「これはこれは、ソフィ。お加減いかがですかな?」
博士が慇懃に返す。
「総督府での2度の爆発事件の報を耳にはさんでから、ずっとお待ちしておりました。」
フォマールはその、整った顔を少し緩めて笑顔で返す。
「博士ぇ。この方は・・・?」
ペディが尋ねる。
「ふむ、この方は貴方のおかぁさんですよ・・・さぁ、挨拶なさ・・・・げふぅ!!」
ケイが全てを言い終わるより早く、フォマールがヴァリスタを博士の眉間に打ち込む。
「・・・何を、でたらめな!私はソフィア。軍部開発局の最高責任者です。ソフィとでもお呼びください。」
こめかみに青筋を立てソフィが自己紹介をする。が、ペディは既に聞いちゃ居ない。
「・・・そして、凄腕のフォマールでもある・・・か?氷結の戦巫女ソフィア。」
いつのまにか復帰したジャドがソフィを見据える。
「ふふふ。お久しぶりねジャド。こんなところで旧友がこんなにもそろうだなんて意外ね。」
「意外・・・?いや、俺にはうすうす分かっていたがな。」
「そうかもね、でもこれで感動の再開もおしまい。そこに転がる肉と同じように、動かなくなってもらいただくわ。」
そう言うと、ソフィは手で印を結ぶ。
「凍土の棺よ、ラパータ!!」
すさまじい冷気が迫る。
「フッ、流石は氷結の戦巫女といったところか。」
ジャドは冷気を受け流す。
「お褒めいただいて有難う。でも其れは・・・」
「・・・!!」
ジャドが突然動かなくなる。
「・・・フェイクよ・・・。」
「クッ・・・パータは足止めで・・・本命はゾンデ・・・か。」
ソフィはラパータの裏でゾンデの詠唱を完成させていたのであった。
「えぇ。私がテクニックの詠唱なんて口に出してすると思って?」
ソフィは柔らかな笑顔で返した。

・・・

そうして、博士ら一行はソフィの強い希望により、アブソリュートセキュアへ拘留されることとなった。
「牢獄はいかがかしら?」
ソフィーが監房の前までやってきて3人に尋ねる。
「あまり良いとは申せませぬな。」
麻痺から解放されたケイが答える。
「そうですかぁ?屋根があるだけましですよぉ」
ペディが的外れなことをのたまう。彼女は結局、何の抵抗もせず捕まったらしい。
「まぁ、こんなとこに入れられても当然よね。何せ、総督府で2度もの爆破テロを、起こしたのだもの。しかも、2回とも相当の規模よ?・・・船体の軌道修正をしなくちゃいけないほどのね。」
「濡れ衣ですな。両方とも私の責任ではないですぞ。そこのペディの責任です。」
「うぅ・・・ごめんなさい〜。」
ペディは相変わらず平身低頭平謝りである。
「おおかた、つまずいて転んで、博士の怪しい薬品に突っ込んだり、博士の違法改造銃をぶっ放したりしたのでしょう?」
「すごぉい。ソフィ様、初めて会ったばかりなのに。さてはソフィー様、サイコメトラーですね!!」
ジャドとソフィはペディを一瞥すると、溜息を一つつくのであった。
(それにしても・・・)
ソフィはペディを見て思う。
(初めて会ったばかり・・・か。)
ペディのほうはいたって真面目に、「ソフィサイコメトラー説」を熱弁していた。
「それはそうと、俺を捕まえる事は無かろう。」
ジャドが不平をもらす。
「あら?総督府地下にあんな施設を勝手に作っておいて。地上ならまだしもここは宇宙船よ?あいかわらず、戦闘馬鹿ね。」
「・・・。」
ジャドが沈黙する。
「第一それ以外にも、貴方は仕事に「熱心」すぎたのよ・・・。」
ソフィはそう言うと、きびすを返して帰ろうとする。
「ソフィア・・・」
ジャドが静かに呼び止める。
「本当にここから出してくれないのか?」
「えぇ。」
ふりむかずに、ソフィが答える。
「・・・そうか。・・・エンサイクロペディア。」
「はい?ジャド様。」
「やれ。」
ペディが暫く首をかしげる。・・・が理解したようだ。
「はい!博士宜しいですか?」
「別に宜しいですが・・・」
「それでわぁ・・・・」
ペディが構える。
「ひねりこむよぉに・・・打つべしです!」
全力で鋼鉄の拳を監房のドアに突き出す。

ズガン!!!

拳とドアの間から煙が立つ。多分普通のドアなら分子レベルで破砕されていただろう。
「ならばこうです!インフェルノバズーカ転送!・・・・・・あれぇ?」
「無駄ですよ。ここでは或るフィールドが働いてまして、一切のテクニックもフォトンも無効化されてしまうのです。」
ケイはそう言うと、傷一つ無いドアを眺めた。
「ふふふ。最高傑作ですわ。博士。」
「ふん。駄作じゃよ。」
「ご自分の作品の性能くらい理解してらっしゃるでしょう?出れるものなら出て御覧なさい?」
「ふむ、では賭けを致しませぬか?みながここから出られましたら、皆を釈放した上ソフィの家に食事付きで置いていただこう。」
ケイが申し出る。
「博士、私は貴方を人間としてはみとめていませんし。貴方なんかにくれてやる、酸素一分子すら持ちあわせていませんが、貴方の発明には感服してます。賭けは成立しませんわ。」
「・・・ふむ、断るのですな?怖いのでしょう。ぐっふっふっふ。と〜んだ、腰抜けですなぁ。」
ケイはこれでもかというくらいあからさまな挑発をする。こんな挑発に乗る奴なんて・・・
「何かおっしゃりました?」
一人いた。表情こそ笑顔のまま崩さないが、言葉には明らかに怒りが込められ、こめかみにも青筋が浮かんでいる。
「・・・わかりましたわ、博士。そうしましたら、こちらが賭けに勝つ事が出来ましたら、あなた方には永久にここに居ていただきます!!」
「それでよいでしょう。」
博士のバイザーが怪しく光る。
「でわ参ります。」
ぐふふと笑うと、ケイはのぞき穴に手をあてがう。
と、ズルズルと粘液質の音を立てながら、穴から外へ何かを流し込む。
・・・いや、博士自身が流れ込んでいる。
「・・・・・・・・・・!!!!」
ソフィが声にならない悲鳴をあげる。
ついに、博士はその体の全てを監房の外へ流しだすと、また人型へと戻った。
「さてと、後は外からハッキングを仕掛けてドアを開けるだけですな。」
そう言うとケイはコンソールへと近づく。
「・・・!させません!!」
精神的再建を果たしたソフィがラパータを打ち込む。ケイは巨大な氷塊に閉じ込められる。
「賭けは私の価値ね。」
「それはどうですかな。」
ソフィーの背後にあるコンソールをいじり終えた博士が返す。
「・・・へ?」

・・・

結局賭けに負けてしまって呆然とする、ソフィーを尻目に少し小さくなったケイが凍りついた自分を一生懸命解凍している。
「実は今、私の体はスライムから出来ているのですよ。」
ケイがペディに説明をはじめる。
「だからあんな風に穴から脱出したり、ラパータのエネルギーを吸収して分裂したり出来たのですよ。」
そうしめくくると、やっと解凍の終わった半身と融合を果たす。
「のぞき穴からズルズルと出て行く博士、素敵でしたよぉ。」
ペディが両手を胸の前で組んで、博士に言う。
(其れはなんかチガウダロ!)
と、ジャドが心の中だけで突っ込むのであった。
「さぁ、早くまいりましょうぞ?」
博士がソフィの肩に手を置く。
「へぇ?」
気の抜けた返事をするソフィ。
「よもや、賭けを忘れたわけではありませぬな?」
ビッと親指を立てるケイ。
(絶対納得いかないわ・・・。)
と、思いながらも自らの浅はかさと不運さに涙するソフィであった。

第四話へ続く。

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今回はいつもにもまして読みにくかったことでしょう・・・ごめんなさい〜。それでも、読んでくれた事に本当に本当にほんとーに感謝です。
毎回いろんな方から感想をいただきましてすっごく励みになってますー
次は少し遅くなるかも知れませんです。え、待ってない。重ね重ねみのほど知らず申しわけないですー。
でわ、感想をお待ちしてますー。


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