博士の理不尽な日常、第七話 kei



はいはい、みなさまおこんばんわ〜。
いよいよこのお話の第一部もクライマックスでし。
第一部ってことは第2部がある予定で、
リソースの無駄じゃボケェ!
とか、思われるでしょうが、温かい目で非難してくださいw
さて今回はターニングポイントですので、
キャラ紹介を兼ねた、人気投票とかしてみたいです。
ってなわけで、
エントリーキャラクター
1番、ケイ
我らが変態博士ことドクターケイオス其の人です。
変態はいろんな意味での変態です。メタモルフォーゼです。
ちなみに、
第一回目の頃から比べると、
人間(?)→スライム→かおすぶりんがぁ→デロル→不明w
ってな具合に、組成が変わっています。

2番ペディ
天然メイドロボエンサイクロペディアです。
無敵のボディと、卑怯な笑顔で解体街道まっしぐらです。

3番ジャド
黒ヒューキャストです。
渋いです。大人の男です。マトモです。
つまりは不遇の扱いを受けます、可愛そうに。

4番ソフィ
ソフィア姉ちゃんです。
フォマールです。おねぇたまです。凄いです。
っていうか、甘いものダイスキです。

5番宅配便の兄ちゃん
第壱話のエキストラです。ジャド君に脅かされたかわいそうな人です。

6番警官さん
覚えてないでしょうねぇw

7番銀行強盗さん
コンなのもいました。

8番禿会長
何も言いますまい。

っとまぁこんなもんですか?ワスレテル人いないよねぇ。どきどき
あとがきに、今回の登場人物も書きますー
それから
KANNA様のHP
http://www.mitene.or.jp/~kanna/
に、バックナンバーを置かせてもらっています
ありがたきことです。
そいでわ・・・
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ここはソフィの部屋の居間。
ここ最近、多忙だったジャドは、念入りにメンテをしてゆっくりと起きてきた。
時刻は既に昼過ぎ。
「少し寝過ごしてしまった・・・か。」
ジャドはソファに腰をおろすと、午後の事について、ふと思案する。
しかし、彼は余暇の過ごし方と言うものを知らない。
いわゆる生真面目と言う奴であろう、退屈が嫌いではないが無為な時間を許せないのである。
あれこれ思案していると、ぱたぱたとペディがやってきた。
掃除機を手にしているところを見ると、どうも掃除中らしい。
「あら、ジャド様。お目覚めですね。」
ペディはにっこりと微笑みかける。
「あぁ、その・・・もう大丈夫なのか?」
「えぇ。メモリーの破損個所は、きちんと自己修復しましたです。」
「ふむ、そう・・・か。エンサイクロペディア、コーヒーを持ってきてくれ。」
「はい。お待ちください〜。」
「私にも頼みますぞ。」
いつの間にやら、ジャドの隣にケイが現れていた。
「一体どこから、生えてきた。このナマモノが。」
「それは、秘密なのです。」

博士の理不尽な日常
第七話「風景」

コーヒーがテーブルに置かれる。ペディは掃除の続きを始めた。
「ところで、ケイ。エンサイクロペディアのことだが・・・その、あいつのメンテは何であんなに特殊なんだ?」
ジャドはコーヒーを一口すすると、ケイに訊ねる。
「特殊、と申しますと?」
「普通、我らアンドロイドは特別な機器を用いずともメモリーやメンタルコードの修復ができる。まるで、人間が落ち込んだ状態から立ち直るようにな。」
「あぁ、そういうことですか。ペディはまだ、2歳です。いくら、一般常識や言語、さまざまのスキルを備えていたとしてもまだその心は幼いのです。自分ひとりの力で立ち直るには少し力不足です。」
「じゃぁ、『あの時』以来、やはり全てのメモリーはリセットされたってことか。」
「いえ、そんなことはないです、私は全てを復元しましたよ。勿論、記憶も人格もね。ただしをリミッターを掛けました。」
ケイがコーヒーカップを弄びながら答える。
「リミッター?」
「えぇ、『ペディ』がリミッターです。私は先ほど人格も復元したと申しましたがアレは少し嘘です、エンサイクロペディアにはそんなご大層な人格なんてもともとありませんでしたからね。」
「つまり、奴に心を与えた・・・とでも、言いたいのか?」
「そこまでの傲慢は申しませぬよ、私が与えたのは只の栄養剤。種はエンサイクロペディアが持っていたんです。」
そう言うと、ケイはコーヒーカップを弄ぶ手を止める。
「もしそんなに、心配なのでしたら・・・ご自分で確かめて見ますかね?」
ケイのバイザーが怪しく光る。
(絶対に怪しい・・・止めておけジャド。貴様のためだ。うむぅ、しかし・・・!)
葛藤するジャド。
「ぐふふふふ。シスコン兄貴殿は大変ですなぁ。」
ケイは愉悦の呟きをもらす
実際には見えないがマスクの下でにやりにやりとほくそえむ顔が見て取れそうだ。
「おやおや、お返事が無いところを見るとペディなんてどうでもいいと言ったところですかね。」
「いや、決してそんなことは無い!! ないんだが・・・。」
(人のメモリーに侵入して診断するなんて・・・何か間違ってる。・・・しかも、ケイのやる事だ、絶対なにかある!・・・あるが、しかし・・・!)
「ふむ、しょうがないですなぁ。ペディいらっしゃい。」
苦悩するジャドをよそにペディを呼ぶケイ。
「なんですか博士〜?」
「ペディ、ジャドがこないだのメンテが上手く言ったかどうか診断してくれるそうだがどうするね?」
「本当ですかぁ?上手く出来てるかちょっと恥ずかしいですが宜しくお願いしますです〜。」
満面の笑みとともにジャドに頭を下げるペディ。
其れがトドメだった。

・・・

「何だこの機械は。」
ジャドが不信感たっぷりに背後の機械へ親指をむける。
ジャドとペディはその機械へと接続されていた。
「なーに心配は無用ですよ。ちょっとピリッとして、意識が飛ぶだけですから。」
そういうと、ケイはレバーに手をかける。
「ちょっと待・・・うぐぁ!」
うなじから脊髄を抜き散られるような感覚とともに、ジャドの意識が機械へとすわれていく。
ジャドが機能停止したのを確認すると、ケイはペディのほうを向いた。
「では、ペディにもいったん眠ってもらいます。さもないと、ジャドの意識をダウンロードしたときにオーヴァーフローしてしまいますからな。」
「あ、でも博士ぇ。まだお掃除の途中なのでお昼寝してる時間は無いです〜。」
「ふむぅ。方法が無いわけではないのですが・・・。」
そう言うとケイは、少し困ったそぶりを見せると、その方法を説明した。
「そんな方法なんですか〜?でも、お掃除できないのは困ります〜。お夕飯も作れなくなってしまいますし〜」
「しょうがありませんな。・・・ジャドには内緒ですぞ。」
そう言うと、ケイはそのどす黒い腹のそこで密かにガッツポーズをとるのであった。

・・・

「ここは、さっきの機械の中なのか?ここはまるで・・・」
メディカルセンターの待合室みたいではないか、と考えながらジャドは寄る瀬も無く一人ソファーに落ち着いていた。
と、ジャドの名前が彼の行き先とともにアナウンスされる。
いわれた通りの場所へ行くジャド。
「ここ・・・か?」
そこは何も表札の無い部屋で、真っ白なドアが只あるだけであった。
「どうぞ中へとお入りなさい。」
唐突に、中からケイの声が聞こえる。
ジャドは一瞬、間を置いた後に、ドアノブに手を置くと、その扉を一気に開け放った。
「これは・・・」
「ペディの・・・いえ、エンサイクロペディアのメモリーを視覚化したものです。」
白衣のケイが一面真っ白なキューブが整然と並んだ床で構築された部屋の中に立っている。
部屋には壁は無い。正確には床面積が広すぎて壁が知覚出来ないのだ。
そしてケイの傍らには、おおよそこの部屋に不釣合いな立ち木が生えていた。その高さ、ケイの肩口ほどであろうか、余り大きくは無い。
「良くきましたねジャド。こちらへいらっしゃい。」
そう言うとケイは手招きする。
「なぜ貴様がここに居る。ここは、エンサイクロペディアのメモリーの中だろう。」
「私はここの住人です。貴方が現実世界で接触するケイとは違う意識なのですよ」
ぐふふふふ、と笑うと話の飲み込めないジャドを立ち木の前に立たせる。
良く見るとその立ち木はキューブと同じ素材で出来ていた。
「さて、この枝を御覧なさい。ここだけ葉が変色してしまっているでしょう。そこが、この間のエラー。」
そう言って、一本の枯れた枝を指差す。
「この枝が枯れているからと言って、折ってしまうのはアンドロイドのあなた方には簡単な事です。メモリーのデリートですな。だがしかし、其れは人間には難しい事です。」
「あぁ、それはそうだな。しかし、われわれアンドロイドも安易にメモリーを消したりしない。」
「そうですな、しかし・・・」
ケイが空中にひとつの映像を投影する。
それは、この部屋の風景に良く似ていて、でもまるで違うものとも言えた。
映像の場所には、やっぱりキューブが並んでいて、その広さが知覚出来ないくらいに広い。
でも、キューブは色とりどりで整然とは並んでいない。何らかの幾何学模様を構築しているようにも見えるし、只乱雑に並んでいるようにも見える。
「これ・・・は?」
「貴方のメモリーですよジャド。」
ケイは、そう言うとジャドに向き直る。
「こんなものを見せられるのは、余りいい気がせんな。」
「そうしょうな。しかしもう暫く辛抱したまえ。良いですか、あのキューブ一つ一つがジャドの記憶なのです。キューブの色は其れに付随した感情ですな。」
「・・・なるほどな。暗い色は暗い感情、とでもいうわけか。」
フッと、ジャドは自嘲気味に笑う。
「概ねそんなところです。並び方は、性格とかもっと根源的に人格とかを構築する要因だと考えてください。」
そこで、ケイは映像を消す。
「つまりなにが言いたかったかと言うと、アンドロイドの場合、先ほどのような風景をある程度自分で、もしくは無意識に操作する事ができると言う事です。」
「なるほど・・・な。」
「ペディに話を戻しましょうか、エンサイクロペディアのメモリーは見ての通りほとんど無感情で整然としたものです。私がそういう風に作ったんですから当然ですな。でも、これを御覧なさい」
そう言うと足元の立ち木の生えたキューブを指差す。
「この記憶は、エンサイクロペディアの記憶のなかで唯一色のついたものです。これが何の記憶かと申しますと、自我の記憶とでも言いましょうか。言わばエンサイクロペディアそのものです。」
良く見ると確かに、うっすらとではあるが桜色に色づいている。
「そして、その記憶に根付いて発生した意識こそがペディなのです。」
「つまり、エンサイクロペディアの中には二つの人格があるということか」
「いえ、ペディの中に居るのは一人ですよ。ペディはあくまでもエンサイクロペディアですから。ただペディの意識、つまりはこのキューブですが、こいつがまだ成長しきってないのですよ。まるで人間の心のような意識へとその姿を変化させている途中ですからな」
「まるでわけがわからない話だな、それとエラーの復旧に何か関係があるのか?」
「えぇ、つまりペディには本当の心が宿っているってことですよ。しかし其れはまだ未熟なものですから」
「誰かの助けが必要だったと言うわけか。」
「えぇ。とはいっても、ペディの心は機械の其れです。せめてもう少し成長してくれないと残念ながら人間の力では、及ばない。だから、機械の力を借りて自分で直してもらったのですよ。」
そこまで言って、ケイは先ほどの枯れた枝を、そっと手にとる、
「御覧なさい。ちゃんと、立ち直っているでしょう?」
ジャドが枯れた枝の先端に新しい枝の芽を発見したのを見届けると、ケイは部屋の扉へとジャドを促した。
「さぁ、そろそろ帰ったほうが良いですな。いつまでも体をがら空きにしておくわけにも行きますまい。」
そうそう、と言ってケイが付け足す。
「さっきの木が生長して、他の記憶にも根を張り自分のものとすれば、きっと昔を思い出しますから。では。」
その風景を最後にジャドの意識はまたどこかへ移送されるのであった。

・・・

夕方、ソフィは仕事から帰ると、目の前の光景に一瞬唖然とし、その後はずっと、笑いどおしであった。
その声で、ジャドは目を覚ます。
「・・・どうもボディの調子がいつもと違う。慣れないことしたからだな。」
そういうと、ぎこちない足取りで居間まで歩いていく。
「あら、目を覚ましたのね。」
ソフィはジャドを見ると、なにやら必死に笑いをこらえている。
「なにがそんなにおかしい。まぁいい、エンサイクロペディア、コーヒーをくれ。」
はーい、とキッチンから声がする。
だがジャドは、その声に何か違和感を感じる。ペディの声がやけに低くて太い。思い返して、自分の声も変であったことに気が付いた。
と、目の前に影が差す。
「ジャド様、おまたせしました〜。」
そうバリトンで言われてジャドは顔を上げると其のまま絶句した。
「なっ・・・・・!?」
目の前には漆黒のヒューキャストが其の大柄な肢体にひよこのエプロンをまとい、コーヒーのトレイ片手に佇んでいた。
(何かの悪い夢みたいだ。いや、きっと夢なんだ。)
熱いコーヒーを飲めば目が覚める、と黒い液体を一口飲み干した。
が、当然目の前の奇妙な風景は変わらない。
自分のほうを見てにっこりと微笑む漆黒のヒューキャスト。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」
ペディの姿をしたジャドが叫びながらケイの部屋へと殴り込みをかける。
「貴様の仕業だな・・・!!」
ケイを巨大な殺気の篭った目で睨みつける。
「さぁ戻せ、今すぐ戻せ、戻すんだー!」
騒ぎを聞きつけて、ソフィーとジャドの姿をしたペディがやってくる。
「戻せ、さもなければ今すぐ殺す。今すぐ戻せば、痛みも無く瞬殺してやろう。」
「ぐふふふふ。殺すなどと言われては元には戻せませぬなぁ。」
怒りに震えるジャドとは対照的にケイは至ってご満悦である。
「ならば死ねぇ!!」
そういうと、ジャドはケイにつかみかかる。ケイはそれを其の巨体からは考えられない身のこなしでかわす。
当然行き場を失ったジャドの勢いはケイの背後にあった物へと向けられる事となる。
ジャドの突っ込んだ先は、先ほどの機械であった。
「完膚なきまでに壊しましたなぁ。元に戻す唯一の方法を自ら破棄するだなんて。」
あ〜あ、と言ってケイは機械に空いた大穴を覗き込む。
ジャドは機械の残骸から身を起こすと、ケイの顔面に渾身の一撃を叩き込む。
「ぶべらぁ!?」
妙な悲鳴をあげながら、壁の2、3枚をぶち抜いてケイが吹っ飛んだ。
瓦礫から立ち上がろうとするケイの目の前に立ちふさがる青いレイキャシール。
其の目は冷たく、ケイのことを完全に獲物として見ていた。
「ま、待ちたまえジャド!私を殺せば機械の修理が出来なくなるぞ!?」
ジャドの必殺の拳がケイの目前でぴたりと止まる。
「一日くれ、明日の夜には何とか・・・」
「明日の朝までだ。出来なければ、死ぬよりも恐ろしい目にあわせてやる。」
「わかりました・・・全く、自分で壊したくせにぃ」

・・・

ケイが頭にぶっとい大剣を刺して泣きながら作業しているのを見ながら、ジャドは溜息をつく。
其の背後で、夕飯の支度をしていたペディが其の手をとめた。
「あ、にんじん買い忘れてました。」
そういうと、ぱたぱたスリッパを鳴らしながら、ケイとジャドの元へとやってくる。
其の姿を見てジャドはまた一つ、深い悲哀に満ちた溜息をつくのであった。
「お買い物に行ってきますが、何かありますか〜?」
「いや特には無い・・・・と、ちょっと待て貴様其の格好でいくつもりか?」
こくりと頷くエプロン姿の黒ヒューキャスト。
「いい・・・俺が行く。にんじんでいいんだな?いいか、その代わり貴様は絶対に部屋から出るな絶対にだ・・・!」
そういい残すとジャドは、玄関から消えた。
夕暮れの町をとことこと歩いていくジャド。しかしながら、野菜を買いに行くなど初めてのことである。
と、うろうろしているジャドの元へ3人の男が近づいてきた。一人の男を先頭に、後ろに大柄の男と小柄な男が控えている。
「おいお嬢ちゃん。」
ジャドは気づかない。自分がお嬢ちゃんである自覚が無いのだ。
「おい! ・・・くそぅ、あくまで無視をするつもりか!」
何度めかの呟きも虚しく、無視されつづける男たち。すると、今まで脇で黙っていた一人がすっと前に出る。
「兄貴、ここはヤハリ力ずくで行きましょう。」
そう言うとその男は、ジャドの体を後ろから担ぎ上げる。
「ぬぅ!貴様何をするか!!」
じたばたと暴れるジャド。だが大男には一向に効果が無いようだ。
ペディのボディには、その暴力的なまでのスペックにより制御が難しいため普段はリミッターが掛けられていたのであった。
「畜生このボディはどうなてやがる! いつもの馬鹿力はなぜ発揮されんのだ!?」
大男の肩に担がれてどんどん運ばれるジャド。
「でかしたぞ!! 一号!!! これであの漆黒のジャドに一泡吹かせられる!!」
街中で、拉致騒ぎを起こした挙句、高笑いをあげる男たち。
「なんだと!? 貴様ら一体何者だ!」
「ふふふ、知りたいか今回だけ特別に教えてやろう! へやぁ!!」
リーダー格の男の掛け声とともに3人が着ていた黒いスーツを脱ぎ捨てる。
「ぐはははは! 我こそは、ディメニアン零号!!」
「同じく一号!!」
「そして弐号!!」
それぞれが、赤、青、黄のコスチュームに身を包み名乗りをあげていく。
「我ら3人、ラグオルの明日を憂い、正義のために暴虐武人、秘密結社ディメニ団!!」
リーダーの口上とともに、いつ仕掛けたのか爆竹があがり色つきの煙があたりを包む。
「げふげふ! おい弐号、火薬の量間違えたな!?」
「すいません兄貴、でも拉致は成功したんだからいいじゃでないでゲスか!」
「ふむまぁ確かにそうだな。目的の人質も奪取したし、よしアジトへ帰るぞ。」
余りの非日常っぷりに、呆然とする一般市民たちを尻目に、ジャドを抱えた3人が帰ろうとする。
「あなたたち待ちなさ〜い。とぉ!」
ビルの屋上から、いつのまにか上った月をバックに4人の下へ飛翔してくる黒い影が一つ。
「き、貴様は我らが宿敵ジャド!! 我らが裏取引を邪魔された恨みここで晴らしてくれる!!」
バキバキと、無様な着地から復帰しながら黒いヒューキャストが言い放つ。
「断じて違いますぅ〜。じゃなかった違うぞ、こらぁ。」
そういうと、男たちのほうに人差し指を向ける。
「我こそは、月光の使者エプロン仮面ブラックだぁ! 貴様らような不埒なお方は、転地が許しても私が許しません!」
セリフを棒読みしビシッと変わったポーズをきめる鼻眼鏡に、エプロンと言った出で立ちの黒ヒューキャストの姿をしたペディ。
どっからどう見ても其の姿は変な格好のジャドである。
「くぅ、漆黒のジャド以外に用は無い! とっとと帰れ!! エプロン仮面とやら!!」
どうやら、騙されたらしい。
「うるさ〜い。問答無用、其の娘をはなしなさーい」
「何だとこいつは大事な人質だ! くそぅ、行け一号!」
一号がエプロン仮面に掴みかかる。
「フライパンセイヴァー!!!」
ゴイン、という間抜けな音とともに大男が崩れ去る。
「くそぅ!!」
零号がハンドガンも乱射するも、弾の全てが見事なフライパン捌きの前にキュインキュインと無力化されていく。
「いいかげん観念しましたか〜?」
じりじりと詰め寄るエプロン仮面。
「おぉっと! そこまででゲスヨ!! それ以上近づけばこの娘のかわいい顔に10メセタ傷がつくことになるでゲスヨぉ。」
「おぅでかした弐号!」
10メセタ硬貨を手にジャドを羽交い絞めにする弐号。
「・・・貴様ら。」
強引に解かれる弐号の腕。
「いま、こいつの顔に傷をつけるとか言ったか?」
殺気の篭った声と視線で、ディメニ団の3人を鷲掴みにする。
と、次の瞬間。一号の巨体が大きく宙を舞い、高層ビルの中腹ほどにめり込む。
ぶつかったところからぽっきりと折れるビル。
「エンサイクロペディアに手を出したのだ覚悟は出来ているのだろうな?」
言いながら、弐号の頭を掴みそのまま横っ面に投げ飛ばす。デパートのショーウィンドウにぼろ雑巾のような2号が並ぶ。
「あわわわわわわ・・・・」
腰を抜かして、へたり込む零号。
其の前に、すっと立つ青いレイキャシール。
にやりと邪悪な笑みを浮かべ。そのまま垂直に飛び上がる。
黄昏の闇の中から無数のネオンに照らされて、ジャドはリミッターの切れたペディーの細い足で強烈な一撃を零号にお見舞いする。
零号は、船体基部まで減り込み、そのまま泡を吹いて、動かなくなった。
ひらりと宙返りをして着地するジャド。
「さて・・・後一人。」
そう言うとジャドは、ケイが密かにカメラを構えて隠れていた路地裏へと消えていった。
「結局、私の出番は余り無かったですねぇ。」
寄る瀬なくうろうろしていると、路地裏から返り血で、所々赤く染まった青いレイキャシールが出てくる。
「あ・・・れ・・・?」
其の赤と青のコントラスト、そして無感情な双眸のレイキャシールの組み合わせに何か既視感を覚える。
「なんだろう・・・これ?何か凄く・・・気持ちが、悪いで・・・す。」
ペディの意思とは関係なくジャドの体から、彼のメモリーが流れ込む。

屍の山に、君臨する、血塗られた、青い、レイキャシール。
何かの悪い夢のように、しかし其れは、まごうこと亡き事実で。
思い出してはいけない事実。自分の作られた意味。ただ無秩序に流し込まれる、禁忌の情報。
白衣の男、鎌を手にした黒いヒューキャスト、そして自分。

「・・・・・・!」

意識が暗転する。
ごとり、と何かがずれた。

第八話へ。

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はい、いかがだったでしょうか?
早速ですが伽羅紹介の続きーです

9番博士の家に来た強盗さん
いいやもうw

10番ジャド in ペディ
今回登場のインチキキャラ其の一。

11番ペディ in ジャド
同じく2

12番ディメニ団。

の以上です。

私のメールアドレス
kei0625@chive.ocn.ne.jp
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でわ、ご感想お待ちしています。



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